岡崎市は、愛知県の中央部に位置する中核市です。自動車関連産業が盛んな西三河地域の一角を占めており、県内でも有数の工業都市として重要な役割を担っています。また、徳川家康など歴史上の人物の出生地として、ゆかりのある史跡も多い大変魅力的な市です。

こだわりを取り入れた注文住宅を建てる際は、住宅設計や住宅設備・性能を考える前に、土地探しやハウスメーカー選びなど事前の準備が必要となります。家を建ててから後悔しないためには、地域の医療や教育の環境を把握しておくことも大切です。

そこで、本記事では岡崎市で注文住宅を建てることを検討している人のため、市の特徴や基本情報、住環境などについて詳しく解説します。

岡崎市は、愛知県のほぼ中央部にあり、岡崎平野と美濃三河高原に接する場所に位置しています。隣接する豊田市などとともに西三河地域を構成しており、地域一帯で自動車関連産業が盛んです。岡崎市は西三河地域の中心都市ですが、近年は住宅地の造成が進み、住宅都市としても人気を集めています。

また、岡崎市は江戸幕府を開いた徳川家康の出生地であり、岡崎城をはじめ、家康ゆかりの土地や史跡が豊富です。さらに、研究教育施設が数多く、文教都市としての一面もあります。

令和5年2月1日時点、岡崎市の人口は384,389人、世帯数は168,041世帯です。世帯数は長年にわたって増加し続けている一方で、人口は10年前と比べて微減傾向にあります。

また、年齢別割合でいうと0～14歳の年少人口は13.6％、15～64歳の生産年齢人口は62.1％、65歳以上の老齢人口は24.1％です。平成27年1月1日時点と比較すると、年少人口が約2％減少していることに対し、老齢人口は約3％上昇しています。

なお、愛知県全体の人口は7,491,010人でした。岡崎市の人口は名古屋市や豊田市に続き、愛知県で3番目の多さです。

岡崎市は10年前から人口が微減傾向にあるものの、愛知県で3番目に多い人口を維持し続けています。

出典：岡崎市「分野別検索　検索条件：人口」

出典：愛知県「愛知県の人口　愛知県人口動向調査結果　月報（2023年1月1日現在）」

出典：愛知県「あいちの人口　２０２３年１月１日現在（推計人口）」

岡崎市の気候は比較的温暖で、年間を通して湿度は高めです。夏は高温多湿で蒸し暑い日が続き、近年は7月や8月に35度を超す高温になる日も増えています。冬には降水量が少なく、晴れの日は多く、気温も零下になることはあまりありません。

愛知県や東海地方の大部分は太平洋側気候に属し、岡崎市の気候と似ています。夏季は高温で多雨、冬季は乾燥気味で降水量が少ないという特徴があり、渥美半島や知多半島など太平洋側は年間を通して温暖です。ただし、愛知県でも三河地方の山間部は冬の冷え込みが厳しくなります。

岡崎市は、地域密着型の医療機関が充実しており、診療所・クリニックが数多く設置されている地域です。内科や眼科のみならず、小児科やリハビリテーション科など多種多様な診療科があるため、子どもから高齢者まで安心して生活できる医療環境が整っています。

一方、子育て世代にとっては、岡崎市における教育環境の状況も気になるポイントでしょう。

ここでは、岡崎市における医療および教育機関の施設数などを挙げ、医療・教育環境について紹介します。

医療機関の施設数は、地域の医療環境を判断する重要な基準です。ここでは、岡崎市における一般診療所・病院・歯科・薬局の施設数を表にしてまとめています。

出典：JMAP地域医療情報システム「愛知県岡崎市」

岡崎市は特に一般診療所が非常に多いことが特徴で、そのうち内科は110軒と最も充実していることが分かります。また、次いで多い一般診療所が小児科（68軒）で、全国的にみても院数は多い傾向です。人口10万人当たりの施設数で比較すると、岡崎市の小児科は17.68軒で全国平均の16.90軒を上回っています。

隣接する豊田市は岡崎市よりもやや人口の多い地域ですが、人口10万人当たりの施設数で見た一般診療所の合計数においては、豊田市で43.33軒・岡崎市で52.51軒と、豊田市よりも岡崎市のほうが多くなっています。

また、岡崎市の南に隣接する幸田町と比較すると、岡崎市における医療機関数の多さはより顕著となります。幸田町に住む方が、岡崎市の医療機関を利用するというケースも多々あります。

このように、岡崎市の医療環境は近隣の自治体と比較して非常に整っていると言えるでしょう。

出典：JMAP地域医療情報システム「愛知県豊田市」

出典：JMAP地域医療情報システム「愛知県幸田市」

次に、岡崎市の教育環境について解説します。下記は、教育機関の施設数を種類別にまとめた表です。

出典：愛知県「学校一覧」

出典：岡崎市「保育園・認定こども園一覧表」

出典：岡崎市「幼稚園一覧表」

出典：岡崎市「岡崎市小学校一覧」

出典：岡崎市「岡崎市中学校一覧」

出典：岡崎市「高等学校一覧」

出典：岡崎市「特別支援学校一覧」

出典：岡崎市統計ポータルサイト「学校基本調査」

表中の各数値は、さらに公立と私立の運営主体で分けることができます。

まず、保育園53園のうち公立は38園、私立は22園で、幼稚園22園は全て私立です。小学校48校は全て公立で、国立大付属1校を含んでいます。中学校22校は国立大学付属1校を含む公立21校と私立1校です。また、高等学校11校は、公立7校と私立4校に分かれます。

特別支援学校は全て公立です。種類は盲学校1校、ろう学校1校、特別支援学校2校となっています。

義務教育の小中学校を除く教育機関は、公立と私立のバランスも良く、個々の家庭や子どもの事情に合わせて保育施設や学校を選ぶことも可能です。

岡崎市は現在、「第2期岡崎市子ども・子育て支援事業計画」を推進しています。子どもの幸せを第一に考え、市内各地区における保育・教育体制における質と量の拡充などの環境整備をしており、子育て世代にとっては心強い政策と言えるでしょう。

出典：岡崎市「おかざきっ子　育ちプラン（岡崎市子ども・子育て支援事業計画）」

ここでは、岡崎市の住環境について解説します。

商業施設が充実している岡崎市は、毎日の買い物にも大変便利な市です。例えば、イオンモール岡崎やウイングタウン岡崎などは、多くの専門店やスーパー、シネマが入った大型商業施設として地元の人たちから愛用されています。

また、岡崎市には公園施設も豊富です。街中の小公園や歴史公園、郊外の総合公園など総数は250以上に上ります。

例えば、遊園地やスポーツ施設がある広大な南公園は家族でのおでかけにも適した公園です。岡崎公園には岡崎城を中心に能楽堂や歴史資料館などさまざまな施設があるほか、桜の名所としても知られており、春には多くの人たちでにぎわいます。

商業施設や公園施設のほか、交通機関や都市計画なども都市における住環境を左右するポイントです。ここでは、岡崎市の交通機関や都市計画、地価相場について解説します。

岡崎市には鉄道やバスの路線網が発達しており、市内全域や市外へのアクセスに大変便利です。

鉄道はJR東海と名鉄、愛知環状鉄道の路線が通っています。JR東海の主要駅は岡崎駅、名鉄の主要駅は東岡崎駅です。岡崎駅は愛知環状鉄道のターミナル駅でもあります。岡崎市全体の中心的な役割を担う駅は、市街地に位置している東岡崎駅です。

一方、名鉄バスや名鉄東部交通が、多くのバス路線を運行しています。発着駅は、JR東海の岡崎駅と、名鉄の東岡崎駅・美合駅です。岡崎市内の移動のみならず、豊田市や西安市などへのアクセスにも対応しています。

岡崎市は令和3年3月、都市計画マスタープランを策定しました。街づくりの将来像や整備方針をまとめた今後10年間の計画です。自然・歴史・文化を基礎とした活力ある都市の開発を基本理念として掲げ、コンパクトな都市づくりや住環境における質の向上などを推進しています。

同プランで注目すべき内容は、岡崎市8地区の地域別構想です。同じ市内でも地域ごとに性格が異なり、それぞれの将来像があります。

市街地と森林を有する中央地域では、都市機能を集積しつつ、自然環境を維持した住環境の整備などが都市計画における重点目標です。

一方、岡崎地域は岡崎駅がある市街化地区です。このため、駅周辺で商業や文化の分野における都市機能を強化し、利便性の良い住環境の実現などを目指しています。

また、農地をはさんで南北に住宅地が広がる六ツ美地域における街づくりの将来像は、良好な住環境づくりと優良な農地保全です。

出典：岡崎市「都市計画マスタープラン」

地価相場は、土地選びや全体の予算計画などに影響する可能性があるため、動向を追ったり、エリアごとに比較検討したりすることをおすすめします。下記は、国土交通省のデータを基に、2022年の基準地価と坪単価をまとめた表です。

出典：国土交通省地価公示・都道府県地価調査

表中の基準地価は2022年の最新数値で、前年の2021年からは約1.7％上昇しています。

また、岡崎市のなかで公示地価が最も高いエリアは明大寺で、坪単価平均は約62万3140円/坪でした。次いで2番目は「柱」で坪単価は平均53万4710円/坪、3番目の「羽根」は坪単価平均51万2868円/坪となっています。公示地価は全体的に前年度より上昇していることも特徴です。

岡崎市は、歴史上の人物のなかでも特に有名な徳川家康が生まれた街としても知られており、徳川家康に関係する史跡が数多く存在します。そんな岡崎市には、歴史的・文化的な観光スポットが多く、子どもの頃から岡崎市ならではの歴史や文化に触れることが可能です。

子どもも大人も楽しめる観光スポットとしては、やはり「岡崎城」や「岡崎公園」が代表的となっています。また、東海道五十三次においては屈指の規模を誇る宿場町だった「岡崎宿」は、現在もなお所々で当時の面影や雰囲気を楽しめます。普段の暮らしでは味わえない雰囲気は、好奇心旺盛な子どもにとって非常に大きな魅力となるでしょう。

徳川将軍家の菩提寺「大樹寺」から岡崎城を結ぶ直線は「ビスタライン」として、約370年前の歴史的な眺望も楽しめます。その他歴史風情を感じられる寺社が豊富にあるため、家族や恋人、友人とパワースポット巡りをするというのも1つの楽しみ方です。

岡崎市で自然に触れながら楽しみたいなら、「岡崎公園」や「鳥川」がおすすめです。

岡崎公園には、ソメイヨシノ・シダレザクラ・エドヒガンといったあらゆる種類の桜の木が並んでおり、3月下旬ごろからは合計約800本もの豊富な桜が一帯に咲き誇ります。ライトアップされる夜間には、岡崎城天守閣とともに映る夜桜の情景を楽しめるでしょう。その景色の美しさはたちまち評判となり、日本さくら名所100選にもノミネートされました。

また、岡崎市東部にある、小高い山々に囲まれた集落である「鳥川」は、至るところから山にしみ込んだ名水が湧き出す自然スポットとなっています。天然のゲンジホタルが生息する貴重なエリアとしても知られており、初夏の夜には蛍の光がきらびやかに舞う幻想的な空間を楽しめます。

岡崎市で特に人気のグルメは、「八丁味噌」です。八丁味噌とは、大豆のみでつくった大豆麹や少量の水しか使わない点が特徴の岡崎市で古くからつくられてきた豆味噌であり、濃厚なコクと独特の渋みが人気の理由となっています。八丁味噌単品はもちろん、八丁味噌をつかった「八丁味噌煮込みうどん」なども愛されています。

また、岡崎市にある企業が初めて食用化を成功させたことから、「えごまオイル」もヘルシー食品として人気を博しました。このように岡崎市では、食品のおいしさをさらに追求するグルメが注目を集めています。

岡崎市では、移住支援事業として「岡崎市UIJターン就業・起業者移住費補助金」が実施されています。対象条件を満たした場合、60万円以上の補助金・支援金の交付を受けられます。岡崎市UIJターン就業・起業者移住費補助金の概要は、下記の通りです。

出典：岡崎市「愛知県移住支援事業・マッチング支援事業」

交付要件は細かく設定されているため、一度公式ホームページから確認することをおすすめします。また、交付申請手続きに必要となる書類が豊富にあるため、余裕をもって準備することが大切です。必要書類が揃ったら、市役所窓口に直接提出するか、手引きに記載されている提出先に郵送しましょう。

愛知県の中央部に位置する岡崎市は工業が盛んな市で、人口は県内3番目の多さです。交通機関が発達しており、名古屋市や豊田市へもアクセスしやすいというメリットもあります。

岡崎エリアは、気候が年間を通して比較的温暖で、医療・教育機関や商業施設、公園施設なども充実しており、住環境にも恵まれています。理想の注文住宅を建てたいと考えている人は、ぜひ住環境が整った岡崎市を選択肢の1つとして入れてみてはいかがでしょうか。

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